職種について
これからビジネスマンになる人も、すでにビジネスマンとして働いている人も「職種」について考えたことはありますか!?
どこの会社で働きたいかは考えたことがあっても、どのように働いて会社や世の中に貢献するのかまで考えたことはない・・という人もいるのではないでしょうか。
プロスポーツチームにはどんな職種があるのか計3回に分けて解説していきます。
今回は第2弾ビジネス編です。
今回のテーマ
- プロスポーツチームってどんな職種があるの?
- ビジネス系職種にはどんな職種があるの?
- 特別な知識やスキルって必要?
学生時代からスポーツビジネスの現場経験にはじめ、イベント企画制作、営業など、スポーツエンタメ業界内外を経験し、現在はプロスポーツチームに従事している筆者がわかりやすくお伝えします。
プロスポーツチームの職種3ジャンル
過去の記事ではプロスポーツチームの収益源として4つの軸でお金を稼いでいると学びました。
まだ、学んでいない方は今回の学びにも繋がるため、先にこちらからご覧ください。
ただ、プロスポーツチームを経営・管理する上では、この4つの収益源だけに着目すれば良いわけではありません。
まずは、プロスポーツチームがどのように成り立っているか見てみましょう。
※これから解説する内容はあくまで一例ですべてのプロスポーツチームに当てはまるわけではありません。
(各チームの資金状況や戦略によって体制もさまざまで、兼任であったり、より詳細に職種が設けられていたりいます)
このようにプロスポーツチームは大きく分けて、「競技系」「ビジネス系」「領域横断系」の3つの領域から仕事が成り立っています。
プロスポーツチームの仕事|ビジネス系
今回は「ビジネス系」について解説します。
ビジネス系とは、前回の競技系とは反対に競技の成績に影響を及ぼさない範囲の仕事になります。このように表現すると、地味な仕事のように思いますが、選手の育成や獲得や競技運営、ファンを増やし、より魅力的なチームにしていくためには大なり小なりお金が必要になります。そのお金を4つの収益源を軸に稼ぐ職種はチームにとっては欠かせない存在です。
それでは、具体的な職種を見ていきましょう。
営業
前回の記事で解説した4つの収益源のうち「スポンサー」と「放映権」を中心にお金を稼ぐ職種となります。スポンサーや放映権の詳細は前回の記事をご覧ください。仕事の内容としてはお金をいただくお客様の候補をリストアップしたり、実際に共感してお金を投資していただくための企画書を作成してプレゼンテーションを行ったりします。
そのため、交渉のためのコミュニケーション力やチームの発展のために必要な資金をどう獲得するのか計画していく力、計画したものを実際に成し遂げる遂行力など幅広いビジネススキルを要するポジションとなります。
MD
MDとはマーチャンダイジングの略で主に4つの収益源のうち「物販(グッズ)」を中心にお金を稼ぐ職種となります。具体的な仕事内容としては、ファンの方に喜んでいただけるような商品の企画や値段の設定から始まり、実際にグッズを作っていただく会社への発注、作られた商品の在庫管理、オンライン販売サイトの管理やグッズショップの運営など多岐にわたります。
そのため、流行を掴む情報収集力や魅力的な商品を作るためのクリエイティブ感覚、需要と供給を客観的に見極める力、販売店舗運営経験などがあると良いでしょう。
チケット
4つの収益源のうち「チケット」でお金を稼いでいく仕事になります。具体的な仕事内容としては、どこの席をいくらで売るのか検討したり、特別なチケット(グッズのサービスやクーポン券、イベント参加権などの特典があるもの)を企画したり、すべてのチケットをどのようなチャネルで販売するのか検討したりと多岐にわたります。
チャネルとは?
経路のことを指します。例えば、ネットサイト、店頭販売、手売りなど。
チケットの売れ行きが試合やチームの魅力度を表しているといっても過言ではないため、ここの収益をいかに高めていくかがプロスポーツチームビジネスの肝だとも言えるでしょう。そのため、魅力的なチケットを考える企画力、多くの購買データを管理・分析する力、チケットに関する基礎知識が求められます。
競技運営
競技運営とは競技を滞りなく行うための準備や当日の運営を行う職種となります。直接お金を稼いでいく職種ではありませんが、先ほど登場したチケットを購入した人が(勝ち負け問わず)感動しながら競技を楽しんでもらうために欠かせないポジションとなります。そのため、近年では、ただ競技を運営するだけではなく、非日常体験を味わってもらえるような装飾や演出を施すことも増えてきました。チケットを買って来場した人が感動してまた次の試合のチケット買ってもらう、このような好循環を生み出すことが収益を増やしていくうえで大切なのです。
必要なスキルとしては施工(会場の設営など)や演出を担う会社、社内の別職種担当など、やり取りをする人が多いためマルチタスクスキル、調整力、試合日に向けて準備していく計画力、物事を俯瞰して全体を把握していく力などが必要になります。
なぜ、勝ち負け問わない感動が必要なのか?
このビジネス系職種は、冒頭でも解説した通り競技の成績に影響を及ぼさない範囲の仕事になります。つまり、勝ち負けのコントロールができないため、勝っても負けても感動して「次もまた観たい」「体験したい」と思ってもらうことが大切なのです。チームの勝利ももちろん大事ではありますが、チームの成績を問わず、お金を稼げる環境を作っていくこともチームが発展していく上では欠かせないことなのです。
ファンクラブ
4つの収益源には該当しませんがファンクラブもチームを発展させるうえで欠かせない存在です。ファンから会費をお支払いいただき、対価として深いサービスを提供することでファンの囲い込みを行い、さらにチームに愛着を持ってもらう役割を担います。チケットの売れ行きと同じようにファンクラブ会員数の成長もチームの魅力度を表すバロメーターといえます。
必要なスキルとしては会費ビジネスの経験や会員の情報管理・分析能力があると良いですが、プラスアルファとして自身も何かのファンでファンクラブに加入しているというのもサービスを受ける側の気持ちも理解できるという点で親和性が高いポイントかもしれません。
スクール
近年、スクール事業を行うプロスポーツチームが増えてきました。チームによってはアカデミーと呼ぶチームもあります。これも会費ビジネスの一環で対価としてチームのOB、OGが直接子どもたちに指導をし、競技技術向上を目指す内容となっています。
地域振興
こちらは直接お金を稼ぐ職種ではないですが、プロスポーツチームは地域密着型の運営が主流となっているためこちらも欠かせない仕事になります。なぜ地域密着型の運営が主流かというと、主催試合を行う拠点がある程度固定で決まっていることが多く、4つの収益源にも関連する「チケット」や「スポンサー」でお金を稼いでいくためには拠点となる地元へのアピールが大切になってくるからです。手法はさまざまですが、地域の小学校にチームのマスコットキャラクターや元選手が訪問して交流をしたり、地元の商業施設でイベントを行ったりと地域との繋がりを深めていくことが大切です。また、裏側の部分ではスクールと併せて選手のセカンドキャリア支援にも繋がっています。
セカンドキャリアとは?
第2の人生における職業選択を意味します。特にアスリートにとっては早ければ高校卒業のタイミングからプロスポーツチームに所属するケースもあり、引退後の職業選択肢の1つとしてチーム内にOB、OG向けの職種を設けるケースが増えてきています。昨今では契約更新の有無もシビアになってきており、突如としてアスリート人生に終止符を打たれるケースも存在します。現役中からアスリートのキャリア設計をサポートする体制づくりやとアスリートの第2の人生のおける選択肢を社会全体で増やしていくことも求められます。
ビジネス系はあらゆる業界のスキルや経験を生かせる
いかがでしたでしょうか?
このなかで興味のある職種は見つかりましたか!?
まだ見つからない・・という方も前回の「競技系」や次回の「領域横断系」のなかに興味がある職種があるかもしれません。
ビジネス系職種は競技経験がなくとも、別の業界での知識や経験を発揮しやすそうだと分かりました。
ぜひ、このサイトを通して、スポーツ業界のことはもちろん、ビジネスの仕組みやファンを掴む秘訣を一緒に楽しく学んで、どの業界でも活躍できるビジネスマンを目指していきましょう!
次回は領域横断系職種編です!お楽しみに!!